銀色の玉の中で息を潜めて丸まっている

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和久田さんと結婚したい話

和久田さんと結婚したい。

 

いきなりのことにみんな戸惑っていると思う。今まで言ってなくて本当にごめん。でもオレ、やっぱりこの気持ち抑えられなくて。自分に嘘がつけなくて。

 

和久田さんと、結婚したいんだ。

 

はい。「銀色の玉の中で息を潜めて丸まっている」をお読みの皆さんこんにちは。

 

みんなは和久田さんを知っていますか。

 

和久田さん(和久田麻由子)とはNHKのアナウンサーで、あの「おはよう日本」を担当している。日本が誇る朝の顔である。

東京大学を卒業している彼女は、言動の端々から知性が感じられる。それでいて合間のちょっとした会話で見せるお茶目な一面。端麗な容姿。才色兼備を具現化したような女性。全人類の理想形。

 

私の稚拙な文章では彼女の魅力を語りきることができない。みんな是非おはよう日本を見てくれ。

 

Wikiによれば、和久田さんは1988年生まれということなので、現在30歳である。私の10歳上か。なんら問題はない。

 

問題はどのようにこの一介の大学生でしかない私が、日本随一の女性と結婚するか、だ。並大抵の問題ではない。かぐや姫が出す難問に匹敵するだろう。

 

いくつか案を考えてみた。

 

 

 

NHKに入社する

 

正攻法である。同じ会社に勤めることで接点を持ち、距離を縮め、お付き合いし、結婚する。堅実だ。一分の隙もない。天晴れである。

 

しかし完璧かに思われたこの作戦にも抜けがあった。

 

時間である。

 

智将大潟、最大の不覚。

 

時間は我々の傷を癒す万能薬であり、全てを破壊する大怪獣であり、また常に我々の行動を制限する。時間を考えずに我々は生きられないのである。

 

私が大学を卒業するのが二年後。そこでNHKに入社し、すぐに和久田さんに出会えれば良いが、そんなに甘くはないだろう。和久田さんと接点を持てるレベルに達するには、よくわからないが、まあ五年はかかるだろう。とすると私が和久田さんと出会えるのは七年後ということになる。

そのとき和久田さんは37歳になっている。

 

いや、私は全然構わない。37歳だから駄目だとかそんなことを言える立場ではない。私が心配しているのはそんなことではない。

 

そんなに長く周りの男が彼女を放っておくだろうか、という問題である。

 

答えは否である。

 

もしもその時点でまだ彼女が結婚していないとなると、それは彼女自身に結婚願望がないということではないか。私は彼女の意思を尊重しなければならないのではないか。私との結婚を果たして承諾させられるだろうか。

 

答えは否である。

 

私は彼女に自分の人生を生きてほしい。

そういうことだ。

 

 

 

②芸能人になる

 

和久田さんと接点を持つのに、正攻法で攻めていては間に合わない。もっと手っ取り早く彼女と知り合うには、私が芸能人になることだ。芸能人になれば実力次第ではすぐにテレビに出演できるだろう。

 

しかし相手は天下のNHKであった。おはよう日本であった。おはよう日本はニュース番組であり、タレントが出演することはほとんどない。

 

智将大潟またしても不覚をとる。

 

和久田さんが直接インタビューしていたのはレオナルド・ディカプリオ氏くらいだ。私はディカプリオになれるだろうか。

 

答えは否である。

 

私はディカプリオにはなれない。

 

 

 

③野球選手になる

 

女子アナは野球選手と付き合う。そういうものだ。世界はそのようにできている。ならば私も野球選手になれば良いのではないか。

 

しかしここで頭をよぎるのは先日行ったバッティングセンターである。私は20球全て空振りした。当たる気配もなかった。友達からは「居合か」「人殺してんの?」「無駄に速い」「今まで見た振りで一番面白い」などの評価を得た。

 

私は野球が一番できないのである。そんな私が野球選手になれるだろうか?

 

答えは否である。

 

私は野球選手にはなれない。

 

 

以上三つの案を出したが全て失敗に終わった。誰か他の案を考えてください。

 

あのねえ、オレだって本気で和久田さんと結婚できるなんて思ってないのよ。あんな最高の人と自分じゃ釣り合わないなんてことは百も千も承知なの。でも夢見ることの何が悪いんだよ。お前たちはそうやって人の夢を笑って一生を終えるのか?夢見たっていいじゃないか。

 

人の夢は、終わらねえ。