考える時間がない!
人生について検討する時間がない!
もう一度言うが今の俺には人生について検討する時間などないのだ。人生は常に目の前に迫っている。
俺は簡単に言えば一ヶ月先の計画を立てるという仕事をしているが、要素が揃っていなくて決められない時、「じゃあここは実行調整にしましょう」と言って会議を打ち切ることがある。
それと同じだ。俺たちは人生を実行調整していくしかない。日々人生をこなしていたらそれで一日が終わって、その累積が勝手に人生となっているだけだ。コーヒーを飲みながら深く椅子にこしかけ、人生のことを考える暇など!どこにあるというのか!
しかしそもそも人生とは。人生というものを想像したときに、どういうイメージが浮かぶか?君たちはどう生きるか?何か道のようなものか?遠くまで続く道があって、自分は今その道中にいるのか。そしていくつもの分かれ道を経て未来へと進んでいくのか。
いや、人生とは常に実行調整の積み重ねである!今、何をしているか、それしかない、自分がコントロールできるのは、今何をしているか、それだけであって、それ以外は全て幻想である!Doing, Doing, Doing,それだけが俺が何者か示すのであり、俺が何をこれからするのか、それは全く意味をなさない。
いや、果たして。果たしてそうだろうか?人生は日々生きていくことの積み重ねなのか。生きることそのものが生きることなのか?だとしたら人間とはかなり虚しいものではないか?未来という概念を知った以上、未来をどう創るかを描き、そのために今を生きるというのが知性に与えられた使命なのではないか?お前は今までに食べたパンの枚数を覚えているのか?
しかしとにかく時間がないのだ!かつての俺は世界について、人生について考える時間があった。しかし今となっては人生をこなしていくので精一杯だ。こうして人間は死んでいくのだ。物質的に豊かになる一方で精神は涸れていくのだ。自分がこんなに陳腐なことを言うとは思わなかったのだが。