銀色の玉の中で息を潜めて丸まっている

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イヤーピースの話

イヤホンのイヤーピース、なくなりすぎじゃないですか?

 

冒頭からソクラテスばりの本質的な質問をしてしまって申し訳ない。

 

オレ「イヤホンのイヤーピース、なくなりすぎじゃないですか?」

 

池上彰「良い質問ですね〜」

 

イヤーピースとは、イヤホンの先に付いている丸い柔らかいシリコン(?)のことである。あれがとにかくなくなる。

 

何故なくなるのか。とれるからだ。とれなければなくなることはない。違うとしたらそれはイヤホンごとなくなっているということだ。

 

「別にいいだろ」と思うかもしれないが、全然よくない。イヤーピースがなくなったイヤホンを耳にはめたことがあるだろうか。ない人は手近なイヤホンで試してみてほしい。イヤーピースをとって耳に入れてみてくれ。

 

どうだ。異物感がハンパないだろう。剥き出しになったイヤホンの固く無機質な先端は、全く耳に合わせようとせず、我々の耳に無情に突き刺さる。音楽どころではない。

 

すなわち、イヤーピースがなくなるとイヤホンは完全に機能停止するのだ。言ってしまえば、我々の本体が脳であるのと同様に、イヤホンの本体はイヤーピースなのだ。イヤーピース=イヤホン、NOイヤーピースNOイヤホンということだ。

 

イヤーピースの最悪なところは、なくなっても見た目ではあまり変化がないと点である。イヤホンは完全にここにあるというのに、あんな小さなシリコンがないだけでイヤホンは完全に無用のゴミになる。この歯がゆさたるや。あんなプニプニが一つ無いせいでオレがイヤホンを持ってきた意味はなくなり、音楽は世界を彩ることができない。

イヤーピースはその小ささゆえに、いざ使用しようとするときまで無くなったことに気づかない。あれがイヤホンの6割を占めるほど大きかったら、家を出る前に気がついて予備のイヤーピースを嵌めることができる。しかしイヤーピースは気づくにはあまりにも小さい。だから悲劇が起きる。

 

オレが怒りを感じているのはイヤーピースのとれやすさに他ならない。あまりにも!あまりにもとれやすい!とれやす過ぎるのではないか!

 

イヤーピースが着脱可能である必要性は私も理解している。耳の穴の大きさに合わせて替える必要があるからだ。(※掃除するときにも着脱する、とのご指摘をいただきました。それは本当にそうだと思います)

 

だが!それは購入した最初の一回だけではないか!最初の一回イヤーピースを選べばその後は別に替える必要はない。人間の耳の穴はそうそう拡大縮小しないだろう。あの一回のためにここまでとれやすいとすれば、あんなにアホくさいことはない!

 

車のタイヤを考えてみてほしい。タイヤは車にとって非常に重要だ。タイヤが一つでも無ければ車は走れない。そしてタイヤは、着脱可能でありながらそうそう外れない。替えることが非常に稀であるからだ。

 

イヤホンにとってのイヤーピースは車にとってのタイヤに等しい。極めて重要であり、着脱可能である必要があるが、替える必要が稀であるからだ。

 

ではイヤーピースも外れにくくあるべきではないだろうか。イヤーピースはイヤホンにただ刺さっているだけだ。何の工夫もなく、ただ漫然とシリコンの弾力に依存して刺さっている。21世紀だと言うのにである。平成も終わると言うのに、イヤーピースはまだ怠惰に刺さっているだけだ。

 

オレは何も強く引っ張ってもとれないようにしろと言っているわけではない。龍の首の玉や燕の子安貝を取ってこいと言っているわけでもない。イヤホンを日常的に使う工程、すなわちポケットからの出し入れ、耳の穴への出し入れ、そうした中でイヤーピースが外れないようにしてくれと言っているだけだ。それがそんなに難しいだろうか?

 

これを読んだイヤホン開発担当者はすぐにイヤーピースの着脱方式を改良するように。