銀色の玉の中で息を潜めて丸まっている

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欠点の話

就活で「あなたの欠点は」と聞かれることがある。

 

まあ個人的には、なんで今日初めて会ったやつにオレの弱点を教えなきゃいけないんだという感じではある。私の全部さらけ出します!ってお腹見せて面接官の足下に寝転ぶようなものだ。しかし就活はそもそもそういうものだから仕方がない。

 

オレは「人を注意できないこと」と答えるようにしている。本当は「足が短い」「腰が痛い」「家を出たくない」「Twitterを見過ぎる」「脱臼する」などがあるが、そんなことを言ったら次の土俵に立てなくなってしまう。それに、実際にオレは人に注意することができないし、それは良くないことだと思う。

 

「注意する」というのは「他人の誤りを指摘する」行為である。オレはこれを絶望的に苦手としている。なぜか。

 

まずそもそも他人の行動に対して「良くない」と思うことがほとんどない。その良し悪しって自分の尺度で測っていいのかよくわからない。誰かが何かやってる、以上に思うことが特にない。「やってる」と「やってない」は明確に区別できるけど、「良い」と「良くない」を区別するのって難しいと思う。「あの人が良いならそれで良いだろ」で終わってしまう。

 

面接でそのような旨のことを話したら、「他人の行動に怒りを覚えることはないの?例えば相手が30分遅刻したりしても」と聞かれ、20秒ほど考えた末「…ないですね」と答えた(本当にないわけではないが、「付き合ってる人が他の男と遊びに行く」とかそういう痴話喧嘩しか思いつかなかった。オレはこの関連の怒りや悲しみはめちゃくちゃ感じるタイプだ)。

一度や二度30分遅刻されたって別に良いし、頻繁に理由なく30分遅れる人間とそもそも待ち合わせなどしない。オレが怒るのは多分自分が馬鹿にされたと感じたときだ。プライドが高いから。でもオレの周りにオレを馬鹿にする人はいない。

 

別の面接では「なぜ注意できないの?」と聞かれたので、「自信がないから」と答えた。ここでの自信は、まず自分が正しいという自信、次に嫌われないという自信、最後に嫌われても良いという自信のことだ。なぜだか知らないがオレはやけに自己肯定感が低いし、オレはマジで人に嫌われたくないと思って生きている。みんなに好かれたいと思っている。逆にオレも人を嫌いになることはあまりない。人を嫌いになるのもある種の自信が必要だと思っている。

 

そもそも他人にあまり興味がないというのもある。中二病みたいな台詞だが、オレはちゃんと考えた上でこう言っている。オレに関係がある範囲のことにしか興味が湧かない。本当にみんな好きにやれば良いと思うし、オレがそれに対して何か言う気も権限もない。これは明確に欠点だと思う。

 

オレはNHKドキュメント72時間が好きで、番組のプロデューサーの方の話を聞く機会があったときに「その人の人生に興味を持つことが大事」という話があった。そのときに明確に「あ、オレが周りに興味を持てないのは欠点だな」と感じた。その話が終わった後に「どうやったら人に興味を持てますか」と質問しに行ったら、「そうだな、意識して練習するしかない、僕は仕事だったからな」と言われた。やっぱり難しいらしいよ。